佐々川ですね。世知原の森から、佐々川を通じて、九十九島に届く森の力が、この海を豊かにします。佐々川河口の干潟はとても重要な役割を果たします。地図は海きらら水族館の位置をさしています。

カブトガニの研究を始めたらはまってしまいました

「私の立ち位置を確保するために、カブトガニの研究を始めたらはまってしまいました」と話してくださったのは岩岡千香子さん。させぼパール・シー株式会社の水族館事業部クラゲ・魚類課の係長さんだ。「海きらら」という名前の水族館で働いていらっしゃる。「好きなことをするのが好きな子でした」という子供時代から、動物が大好きで、学校を出た後は、佐世保市の動物園のアルバイトをしていらしたそうです。水族館から声がかかり、今まで気に留めていなかった水辺の生物に目をやると、意外にもカブトガニの生態研究が充実していなかったので「これだ!」と独学を始めたという。大分県の杵築湾で活動される住民の方々から、調査の成果や取り組み姿勢を学び、自ら佐々川河口の干潟に日参するうちに「本当にはまってしまって、カブトガニだけでなく、それを取り巻く環境まで大好きになってしまいました」という。

佐々のカブトガニは大きいんです

佐々川がもたらす、ミネラルのせいで、餌が豊富になるのか、佐々川河口に棲むカブトガニは悠々と大きくなるそうだ。岩岡さんは「佐々のカブトガニは大きいです」と目を輝かせる。他にも「絶滅危惧種のハクサンシオマネキがめっちゃいるんですよ!」とか、「ミサゴとか野鳥もすごく多いんです」と干潟の生物の多様性を熱心に教えてくださる。「私たちは、水族館で皆さんに野生の生き物をお見せする仕事と、同じだけ、その自然を観察し研究して発信する仕事をしなくてはなりません」という。

 

足に伝わる感覚で、どこにいるかだいたいわかるんですよ

できれば大潮の日は潮の引きも大きいので、干潟に入りたいですね。「歩いて定点観測をします。だいたい、地下足袋や長靴を通しても、砂泥の状態でわかるんですよ」という。爪の先ほどの幼生から、数センチメートルにいたる幼生が、どこから流れ着いて、どう移動したか、干潟の産卵場所を把握していることで、佐々町役場とも連携を取り、護岸などの工事をした後は、砂を入れるなどの対策を共有してきたという。「私だけじゃなくて、佐々の皆さんが、地元の皆さんが、調べたり、学んだり、大事する姿がいいと思うんです」といい、佐々のカブトガニの会の成立に貢献した。「川のこと、学んでいただけるよう出来る限りのお手伝いをします」と力強い。